李

あさがくるまえにの李のレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
3.8
臓器提供による喪失と再生
次アマプラ契約した時に絶対に観ようと思ってた作品。ジャケットと邦題がとても好き。あさがくるまえに。いいなぁ。

静かで繊細で美しい作風。青みがかった寒色の映像で綴られる冒頭シーンなんて驚くほどの美… そして、最後までかなり淡々としていてドキュメンタリーチック。ドナー、レシピエントだけでなく、その家族、移植コーディネーター、医師etc… 様々な視点から描いているのも、それぞれの感情の機微も感じ取れる丁寧な描写も、全てが良かった。特にドナー側の家族。考える時間もそう長くは与えられぬ間に脳死を受け入れ決断を迫られる葛藤と精神的負担、この描写が1番辛かった… だからこそジャケットのシーンはもう…(;;) 所々シモンの回想描写でジュリエットの存在を取り入れるのがかなり狡いし鑑賞側を惹き付ける手法が上手いなぁ。

愛する人が脳死判定された時どのような決断をするだろう、もし提供される側ならどう感じるだろう(他人の生命を使ってまで生きたいと思うのか)。絶える命とそれによって救われる命。色々考えさせられるし、臓器提供の流れってこんな感じなのか…って学びもあった。自分が当事者になった時、どのような形で朝を迎えたいかな、。
李