ピッコロ

きっと、いい日が待っているのピッコロのレビュー・感想・評価

5.0
きっと、いい日が待っている。

つらい。つらすぎる・・・。
開始30分で、観るのをやめたくなるぐらい、つらすぎる。
今すぐにでも停止ボタンを押して、時間を止めたくなる。
それでも、"きっと、いい日が待っている"。
そう、自分に言い聞かせたんだけど・・・。
そんな、保障はどこにもなくて、彼らの未来は不安だらけ。
嫌な予感しかしない。永遠に続く闇。
生きていくのが、苦しいから存在を消して幽霊になる。

1967年、コペンハーゲンの養護施設で実際に起こった事件を元にした作品。そこで、生きてく兄弟を描いている。
これは、もはや殺人事件と同じ事件だっ!
そこで繰り返される体罰。
なにか気に食わないことがあると意識がなくなるまで殴られる。
さらには、オモチャにもされて。
(ちょんぎってやろーかっ!)

そんな施設でも、一人だけ優しい先生がいて、兄弟、特に弟に優しく接してくれる。その時だけは、このつらく重い現実が少しだけ軽くなった気がする。弟にとっては、月にでもいるような気持ちだったのかもしれない。
穏やかな休息・・・。

弟のエルマーは足が悪く、宇宙飛行士を夢見ている。
1969年、人類は月に降り立った。
体が弱く重労働では体力がもたず、疲弊していく。
おねしょにより、体罰が繰り返される毎日。
そんな弟を、優しく面倒を見る兄のエリック。
ただ、見てるしか出来ない現実に、心がズキズキ傷ついてくる。
なんとかして、弟を助けてやりたい。
こんなに、美しい兄弟愛が、この世界にあるのか?
それを踏みにじる汚い大人たち。

子供は、力が弱いから、強い大人に立ち向かうことができない。
力では絶対に、適わない。それを知ってる大人の汚いやり口。
だけど、だけど、子供を甘く見るな!
お前達が、思ってる以上に子供は強くて大きいんだ!覚悟しろ!

この施設にいる、どんな大人達よりも、エルマーが一番大きく、そして強く見えた。

きっと、いい日が待っている。
きっと、きっと、いや絶対に・・・。
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