初見では、寓話の様な映画と言った印象しか無かったが、改めて観てみると最近では珍しくアカデミー賞作品賞に納得がいく作品だった。
映像美術や脚本、そして特筆すべきはS.ホーキンスを筆頭に、キャスティングの妙だ。
助演のリチャード、ジャイルズ、ゼルダもこの寓話の様な世界観に大きく貢献している。
確かにthree billboardsのF.マクドーマンドは凄みがあったが、主演女優賞は是非彼女にあげて欲しかった。
不幸で苦しむ人にしか他人の苦しみは理解出来ないが、それは単なる同情ではなく、苦しむ人に手を差し伸べる事が翻って自分を救済する手段であると言った宗教的なテーマも孕んでいる気がする。
人を傷つけもするし救いもする魚人の手もそうだ。
最後の首の傷がエラになるアイデアは初期設定からだろうが、これが決定的にあっと思わされた。
寓話的だが、素晴らしい寓話だった。