pikumin

シェイプ・オブ・ウォーターのpikuminのレビュー・感想・評価

5.0
上半期に出会った作品でナンバーワンだった「シェイプ・オブ・ウォーター」は、最初から最後まで清らかなラブストーリーだ。
しかし、さすがデルトロ監督。ただの純白ラブストーリーだけでは終わらせない。
「シャイニング」や「レオン」を見ている時のようなドキドキハラハラ感が作中ずっと続くのだ。
困難に立ち向かう人たちの勇気と希望。言葉にすれば脆いだろうか。でもまさにこれがぴったりで、彼らは正義と愛を貫いたのだ。

この映画の素晴らしいところは、音楽にもある。
終わった後に、音楽だけが頭を巡ることがないのだ。
シーンを思い出せば曲を思い出すこともあるが、取り立てて「この音楽がとても印象強くて」というのがない。あくまで、日常の中に潜む音楽として取り入れられていたのだ。
昨今の映画はあまりに音を着色し過ぎた節があるが、そのバランスの取り方が絶妙なのだろう。だからこそ、話にスムーズに集中できるのだ。

グロテスクなまでにリアルなクリーチャーは細部まで抜かりなくこだわられて、とても美しい。彼が身体をぴちゃんと鳴らすと、どこか官能的な美を感じることさえあった。

最後まで美しく、清らかな物語だった。
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