サラリーマン岡崎

彼女の人生は間違いじゃないのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

4.5
「今、撮っておきたいんです。ここは私の記憶ですから」
映画の中で蓮佛美沙子扮するカメラマンの卵が言うセリフ。

震災から5年。
まさに今この2017年の福島の「記憶」映画。

冒頭シーンから除染隊の少しサスペンスフルなシーンから始まり、
航空撮影した仮設住宅の映像へと繋がる。
ちょっとSFチックな壮大な始まりではあるけど、この映画で描かれるのは福島にいる数人の日常を描く。

その日常は知ってそうで、
結構知らないことが多かった。
生活の為に除染隊に入ったけど、周囲からは批判されるとか、保証金目当てにマルチ商法がされていたり…。
震災によって、「絆」が2011年の言葉に選ばれたりしたけど、今は負の連鎖が起きているんだなと…。

震災とか、事件とか、
その時はとても心にきて、何かしなくちゃとか使命感にかられたりもする。
でも、少し経つと忘れてしまうのが正直現実。

映画もそう。
世界には様々なテーマを伝える為に様々な映画が存在する。
そして、そこから観客は心を動かされる。
でも、少し経つとその思いは忘れてしまう。

でも、「記憶」という機能を持つ映像として残っていることが大事。
また震災が起きたときに、あのときあの映画でこんなこと描かれてたなとか、
万が一、自分が震災にあい、苦しみを抱えたときに、その映画のことを思い出し、少し救われたり。
映画はそんな役目があることを気づかせてくれる映画でした。

廣木隆一監督、
エンタメから自主映画まで幅広く、
且つどちらも良作を生み出す監督。
いつかなってみたい。