RYUYA

彼女の人生は間違いじゃないのRYUYAのレビュー・感想・評価

4.0
こうゆうのこそ響いてほしい。
ケン・ローチみたいな映画だった。

普段はクソみたいな空想恋愛映画を仕事として撮りながら、たまに“性”を通した真に迫る現実社会映画を撮って呼吸する廣木さんが、
福島の仮設暮らしで役所勤めしながら、たまの週末に上京しデリヘルのバイトをして生きている彼女とダブってしょうがなかった。

自分も東北育ちの田舎っ子で、大の映画好きだから、
「どっちがいいか」はよく知ってる。

生きる意味を亡くすギリギリのところで生きている人々、
自分がいちばん不幸だと思っている人々に対し、慰めるのではなく「うぬぼれんな」と言い放った映画は震災後これが初めてなんじゃないかな。
「そもそもみんな辛いんだから」って諦めるのもたまにはいいじゃんね。

というわけで、廣木隆一では『M』以来のストライク。
目も鼻も口もあてられないその間の映画なんか忘れて、
みんなであの日本映画史に残るファーストカットに見蕩れましょう。
ロケーションと天気が味方した、神がかったショットがいくつもあったよ。

そして、角度によって顔が変わる、主演の瀧内公美さん。
「この人に笑ってほしい」
そう思わせる、まさに映画のヒロイン。
というか俺、どうもデリヘルの話には弱いみたい。
なんかあったのかな。
RYUYA

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