このレビューはネタバレを含みます
宇宙で最も暗い夜明け前…
最高密度の青色に光の白が溶けていく。
そんな個の現実を束ねた群像劇。
明るみに出た現実を前にすれば、無自覚な私はとても愚かだと思い知らされる。
こんな事を言ったら、冷たいヤツだと思われるかもだけど…被災地だとかは関係ない。そうでなくても人は落伍するし、デリヘルして生きてる子もいる。境遇は関係ない。生き方は貴賎で測るべきじゃない。
誰の人生が正しいとか間違ってるとか…言えるとしたら、それは傲慢。だって何処に行っても変わらない。現実との向き合い方は、教えてもらえない。どうしようもなく猥雑で、同じものは二つと無い…これが自分。自分の認識している自分。
放射能で汚染された地区と、都会の雑踏と…その違いが、わからなくなる。
『彼女』という主人公の姿から何を感じるのか…いや、今作の主人公は彼女だけじゃない。様々な人がそれぞれに現実と向き合う姿を見て、何を感じるのか。
自分の納得いく答えは、自分にしか見つけられない。キッカケぐらいなら、誰かに与えてもらえるかもしれないけどね。
少し前に、ある友達から仕事を辞めたいって相談を受けた。私はそれを聞いて、誰かに肯定してもらえたら安心なのかな…って、どこか白々しさを感じたりもしました。
誰かが、キッカケぐらいは与えてくれたりしてもいい。そうであってくれたら嬉しい…自分でも、そう思ってるくせに。
そんな私に話を持ち掛けたんだから…
もう答えは出てるんでしょ?
肯定が欲しいなら頷いてあげる。
引き止めて欲しいなら、引き止めてあげる。
必要なものを与えてあげるよ。
でも、あなたの人生はあなたのもの。
私が決めるものじゃない。
冷たいかな?でも、そうとしか言えない。
こんなだから友達少ないのかなー(苦笑)
人生は他者って言葉があった。
でも、現実は自分だ。
窓ガラスに映る自分を見ているようで、その向こうの景色しか見えていない彼女の姿。自分と向き合えていない姿。
新潟のデリヘル嬢との短い語らい。
鏡に映る自分を、直視する時間。
自分を見て、何かを感じられればいい。
それは俯瞰でもいい。俯瞰さえもせず、自分が見えていないより何倍もマシだ。
Que Será, Seráは性分じゃないけど…
生きてるんなら、生きるしかない。
誰かの現実が明るくなってくのだとしたら、それはきっと少し…嬉しいこと。
それがたくさん集まれば、朝は眩くなる。
どうせなら、キラキラした朝がいい。
そんな夜明け前な気分にさせられた作品。
作品そのもののレビューに繋がらなかったからネタバレにして伏せておきます(苦笑)