爆裂BOX

ドラキュリアの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ドラキュリア(2000年製作の映画)
3.8
英国ロンドン。マーカス率いる窃盗団がカーファックス遺物館い侵入、金庫にあった銀の棺を盗み出した。館長のヘルシングは棺が盗まれた事を知ると、甥で館の運営を手伝うサイモンに何も告げる事無く棺を追って旅立ってしまう…というストーリー。
ウェス・クレイヴン製作総指揮でドラキュラを新解釈で描いたヴァンパイアムービーです。編集を手掛けていたパトリック・ルシエの監督デビュー作でもあります。
不審に思ったサイモンもヘルシングの後を追い、一方、飛行機内で棺を開けてしまった窃盗団は復活したドラキュリアに襲われ次々ヴァンパイアに。ヘリシングの娘マリーはドラキュリアの悪夢を見て、狙われることになるという内容です。
冒頭、デメテル号のシーンが少し描かれ、ロンドンにドラキュラが現れるまでが描かれますが、そこからすぐに現代に舞台を移して物語は進行します。主人公となるヘルシングの娘マリーのルームメイトがルーシーだったり、墜落した飛行機のパイロットがケーブルで操縦席に縛り付けられてたり、妖艶なドレスに身を包んだ三人の女吸血鬼など「ドラキュラ」知ってる人ならニヤリとする要素が散りばめられてますね。また、「鏡やカメラに姿が映らない」、「招かれないと家に入る事が出来ない」、「銀製品が苦手」というヴァンパイアのお約束要素もしっかり盛り込んでるのも良いですね。狼に変身して追い掛けて来て、攻撃が当たる直前に大量のコウモリに変わったりと、動物に変身できる要素も盛り込んであるのも嬉しいですね。空中メイクラブシーンはちょい意味不明だけどヴァンパイアらしさはあるかな?(笑)
ヴァンパイアとの戦いでは小型の銀の杭連射するクロスボウショットガンなどのギミックも出てきますが、アクション面では「ブレイド」と比べるとぬるめかな。ウェス・クレイヴンが関わってるだけにホラー面の方に力入れてる感じですかね。首チョンパシーンありますが、ゴア度は低めです。
今見るとキャスト陣豪華ですね。主役であるドラキュラ(なぜか字幕も吹き替えも「ドラキュリア」と言ってますが)演じるのは「オペラ座の怪人」でブレイク前のジェラルド・バトラー。今は「エンド・オブ~」シリーズや「300」でマッチョ親父アクション俳優のイメージですが、この時は若いし線も細いイケメンぶりを披露してます。落ち着いた雰囲気で品の良さを感じさせ、そしヴァージンレコード訪れた際に店内の女性客が釘付けになるのも納得の溢れ出るセクシーさ披露して結構ドラキュラ役ハマってました。クリストファー・プラマー相手にも堂々たる演技でしたね。その宿敵ヴァン・ヘルシングを演じるクリストファー・プラマーも存在感ある演技披露してます。彼の秘密と中盤過ぎの展開にはちょっとビックリ。
ヘルシングの甥サイモンを「エレメンタリー」のジョニー・リー・ミラーが演じていて、真面目だけどちょっとぬけてる所あるキャラを好演してます。また窃盗団のリーダーをオマー・エップスが演じてて十字架突きつけられて「俺無神論者なんだ」という所笑いました。窃盗団に協力して後にヴァンパイアになるジェニファー・エスポジートは妖艶な悪女ハマってましたね。一番最初に死ぬキャラでロックリン・マンローも出てるし、ヒロインマリーと親しい神父役で「ザ・ルーキー」のネイサン・フィリオンも出てました。
新解釈となるドラキュラの正体は「成程!」と思いましたね。「十字架やキリスト関連のものを憎む」「銀を嫌う」という理由付けになっていましたし、自殺者は吸血鬼になるという伝承も取り入れてるのかな。許される事ないと分かっているからこそ逆に「彼」を憎むようになったのかと感じさせる所や死なない呪われた宿命を背負わされた悲哀を感じれます。
ラスト、日光で燃え上がったのはマリーを解放するという他者への救いを行ったから許されたのか。ラストの後のマリーの物語を見てみたくもなります。
怖さはあまりないしアクションも激しくはないですが、新解釈のドラキュラの正体や世界観等結構好きな作品でした。