Kaji

古山子(コサンジャ) 王朝に背いた男のKajiのレビュー・感想・評価

3.2
伝記の色合いが強く出ている映画。


主人公キムジョンホは実在の人物で、「大東輿地図」は現在も文化財として保管してあり、朝鮮の地図としては最高傑作と言われているそうです。
ただ実際は半島をすべて踏破したとは考えにくく、それまであった地図を補完して、縮尺や情報を整理した決定版であると考えられます。

個人の人生はどれだけのフィクションが入っているか定かではないですが、生没年不明とありました。
公開時は荒唐無稽な展開に批判もあったようです。
両班なら記録があるかと思うので、平民か残班と考えられており、劇中の荒屋に棲む描写は通説通り。
また、その階級だったからこそ、旅人の目で見た情報が入ったり、また、事故や遭難の話に胸を痛めたりしたのではと思います。加えて、地図を出版、行政区ではなく座標でしるしているので劇中の「民のために」という思いも伺い知れます。
時は大院君治世、「花、香る歌」と同じ頃かな。キリスト教弾圧の描写が入りますが「チャサンオボ」よりは後の時代です。

ともあれ、この映画の1番の魅力は半島各地の雄大でおおらかな自然にあるでしょう。
古山子が一人佇む自然の前には、政治の力すら小さくなる広がりがあり、地図という手元で観る地理と実際眼にする自然のダイナミックな繋がりがありました。
主演のチャスンウォン俳優、人物とその人の偉業が何に苛まれたのか表情をコロコロ変えてユーモラスで自由な人というイメージが合ってました。
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