このレビューはネタバレを含みます
この世はとても複雑であらゆる事が起きるし
異なる容姿、異なる思考の人々が
同じ道を交差し同じ時間を生きている。
そんな元々「複雑」な場所なんだから
それ以上に人生を複雑にする必要はなく
己の生き方は実に「単純」で良いのかもしれない。
分かんないけど・・・
「自分の人生」を「自分の意思」で強く生きる。
ただそれだけ。
それがもし誰かを憎むことであっても
それがもし誰かを受け止めることであっても
それがもし誰かを愛することであっても
それがもし誰かを赦すことであっても
それがもし誰かを傷付けることであっても
それがもし誰かを捨てることであっても
それが誰かと繋がることであっても
それが私の選択した生き方だと
それが自分の人生との闘い方だと
胸をはって言えるのなら・・・
この世での様々な評価ってのは
ちょっぴり歪んでたり偏っていたりする。
権力、金持ち、腕力、家柄だとかはもちろん
いじめっ子✧自分の意見を押し通せる人✧
自己主張の激しい人✧攻撃的な人✧高圧的な人✧
威嚇・脅す人✧取り巻き(友達)の多い人✧社交的な人✧意思を曲げない人✧華やかな人✧
ざっとこんな感じの人のことを世間では
「強い人」または「凄い人」と錯覚し
多くの人が魅力的に感じる傾向がある。
実際はそうでなかったりしても表面的にはそう見えてしまう。
おかしな世界。
「強い人」にｽﾎﾟｯﾄﾗｲﾄが当たるってわけでもない。
「強く見える人」にｽﾎﾟｯﾄﾗｲﾄが当たるんだ。
そしてそのｽﾎﾟｯﾄﾗｲﾄに人は群がり着いていく。
結局の所「本当に強い人間か」なんてことより
どれだけ多くの人々に認められるか
どれだけ多くの人々に魅力的に映るかという
世間からの評価こそが重要。
表面的な分かり易い格好良さや強さが大切。
結果こそ全て。
そういう着飾った生き方を選択する人もいる。
そんな眩しいｽﾎﾟｯﾄﾗｲﾄを背に
誰にも気付かれない見向きもされない
憧れもされない「強い人」がいる。
おとなしくて穏やかで控えめだけど
大きな優しさと愛を持った「強い人」
他人の痛みと怒りの詰まったﾊﾟﾝﾁを
自身の胸で真正面から受け止められる人。
何度でも頭を下げられる腰の低い人。
どこか見苦しいと吐き捨てられる敗者。
世間ではこういう人を「弱い人」とよく言ったりする。
けれどこの世はやっぱり「複雑」だ。
勝者=絶対強い人とも言えない。
敗者=絶対弱い人とも言えない。
でも世間は「敗者」のことは気にも止めない。
すぐ忘れてしまうのだ。
「敗者」はいくら強い人であっても
華やかな称号は与えられない。
いつだって見つけてもらえない日陰の存在。
けれど彼らは大丈夫♡
彼らは自分自身の弱さも強さも全てを理解し
それを受け入れて生きていく
内なる強さが備わっているから
実に弱そうに見えても実に小さく見えても
驚くほど頑丈で大らかで優しい♡
弱者だと言われても敗者だとしても
誰かの「勇者」にはなれる。
誰かの「HERO」にはなれる。
目立たないけれど、ちゃんと。
優しさは「強さ」だと私は思ってる。
勉強ばかりしてる姪っ子にも毎回言ってる。
少しづつでもその言葉の意味が
心に響くといいんだけどな。
誰もが強くなりたい。
けれど「強い人」の定義はそれぞれに違う。
驚くほどに全然違う。
だから複雑なんだ。
だから今日も私達は傷付き傷付け
繋がれない孤独を生きるんだな。
彼に愛がなかったとは思えない。
ただ勝利への欲と並行して溢れる
憎しみの感情が強すぎただけ。
それが彼の戦い方であり生き様だから。
この世界も、日本も、私自身も
憎しみの欠片をいつも持っている。
憎しみで掴みとった勝利は
どんな味がするのだろう。
愛の滲んだ敗北の地から見る景色は
どんな風だろう。
数組の離れ離れだった家族が物理的には
すごく近くに集結したのに
結局繋がらないままﾌｪｰﾄﾞｱｳﾄ。
繋がれるのに繋がれない。
心は日々揺れ動くのに
心の片隅にいつも居るのに
結局決着はつけられず
今日もまた、互いに気付かずすれ違うだけ。
全ての登場人物を限りなくフラットな目線で描き
全ての出来事を強引に丸く綺麗に収めようとしない本作は
ﾊﾞﾘｶﾝの持つ不器用さと穏やかさと大らかさと
全てを受けいれる優しさとﾘﾝｸして
厳しいながらも温かい。
ﾊﾞﾘｶﾝは最初から最後まで
私のﾁｬﾝﾋﾟｵﾝでした♡
敗者のﾁｬﾝﾋﾟｵﾝ❣❣
何をパワーに明日を生きようか。
あなたは何をパワーに明日を生きてみますか。
憎しみ？ 愛？ それとも美味しいご飯？
とりあえず私はなんだか梨が食べたくてしかたない。
梨をパワーに明日を生きてみよう♡笑
