これまで自己満足の為に生きてきた自分が、誰かの為に生きると考えた瞬間ココロがフワッと軽くなった。
どこから話せばよいだろう…。
夜9時から翌12時まで約15時間の〈LIVE AID〉生中継を見るために、テレビの前でココロ踊らせ徹夜したあの日。
初めて買った〝Queen〟のアルバム〈世界に捧ぐ-News Of The World-〉が、米国SF作家〝フランク・ケリー・フリース〟による不気味なロボットのイラストに取り憑かれたこと。
そのアルバムに収録された〝We Will Rock You〟を部屋で大音量でかけ、近所から苦情が来て親に叱られたこと。
〝Bohemian Rhapsody〟もいいが〝Somebody to Love〟や〝You And I〟、ジョン・ディーコンの〝You're My Best Friend〟が好きな理由。
自分の生活の中に常にあった〝Queen〟は、今なお数十年間聴き続けてきた数少ないバンドで過去のバンドではない。
激しさ・強さ・色んな意味で濃いサウンドは骨太で重厚、その中にしなやかさが加わり様々なシチュエーションで幾度となく勇気をもらっただろう。
天を突き破るようなフレディの魂の叫びは雷鳴のごとく力強く激しいが、奥底に眠る悲しげな孤独な影が伝わってくる。
高鳴る鼓動は常に〝これが最後、永遠などない〟と自分は〝Queen〟を聴くたびに、生きる素晴らしいさと現実の厳しさを感じていた。
この映画の中身に触れれば理屈無しに純粋にライブ感覚で楽しめ、自然と右足でリズムを刻んでいる自分がいる。
内容的には大雑把で決して濃いとは言えないが、楽曲をふんだんに使いバンドとしての〝Queen〟を基軸にしたことがシンプルで良かったのではないか。
今の時代なら〝フレディ・マーキュリー〟をゲイやドラッグや人種問題などドロドロとした人間模様を描くことは容易いが、純粋に娯楽作品に徹したことが逆にココロにスーッと入りやすく好感が持てる。
若干役作りし過ぎのような〝ラミ・マレック〟も好演したと思うが、自分はどうも〝ミック・ジャガー〟に見えてしかたなかった。(特に前半の長髪)
音響的にも本物のライブよりライブ感が味わえ、久々にもう1度ライブ感を満喫したいと思った映画かもしれない。
誰かの為に生きると決心したとき、初めて生きる喜びを感じる…例えそれが遅すぎたとしても、気づかないで死を遂げるよりいい..★,