バレエの芸術監督、ミルピエ氏辞任の際の、ダンサーへの最後の挨拶とみられるシーンがほんの少しだけど収録されていて、これは怖いと思った。
おそらくみんな真面目に話を聞いているだけだと思うけれど、話しているミルピエ氏を床に座って見上げる団員たちの顔。
なかには彼が去るのを惜しむ者もいるだろうし、居なくなってくれて清々するという人もいるだろう。
監督が変わろうがさして自分には関係ないという人もいるかもしれない。
みんながそれぞれの思惑を持ちながら話を聞いていると思うと、この短いシーンがなんだか恐ろしく思えてしまった。
誰がどんな役を得るのか、誰が先に昇進するのか、誰が監督や振付家に気に入られるのか、といったことで日々競争の絶えない集団をまとめるのは相当大変だろうと改めて思った。