くらげ

テルマのくらげのネタバレレビュー・内容・結末

テルマ(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

キリスト教のおしえのもと厳格に慎ましく生きてきた少女テルマが、自分とは正反対の生活を送るアンニャと出会い、自らに眠る異能の力を呼び覚ましていく物語。『キャリー』の系譜に連なる、所謂「思春期の心の揺らぎとともにモンスター化していく少女」モノである。

ストーリーは基本的に緩急は少なめ。びっくりするようなホラー描写もほとんどなく、アンニャのことで頭がいっぱいになってしまうテルマの心情を丁寧に描いている。それゆえに、長めの上映時間のなかで、中弛みを感じてしまう部分も多々あった。

強い能力を持つテルマは、古く厳格な生活と家族によって守られていた反面、アンニャへの同性愛を自覚してからは、その縛りはテルマの人生にとって大きな枷ともなってしまった。テルマは最終的に自分らしい人生を送ることを選び、一度は己の迷いを断ち切れずに消滅させてしまったアンニャを再び顕現させ、彼女と結ばれる。

一見すればハッピーエンド?とも思えるが、肝心のアンニャ→テルマへの気持ちがはたして「本当にアンニャ本人の意思なのかどうか」によって、この映画の見方は大きく変わる。もしもアンニャの気持ちすらも「テルマがそうなるように願ったから」コントロールされたものであったなら……この映画は純愛を越えた恐ろしいホラー映画になる。
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