Monsieurおむすび

テルマのMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

テルマ(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

この世のものとは思えないほど幻想的な、凍った湖や雪深い森のシーンに引き込まれた次の瞬間に訪れるざわめき。
冒頭5分で心を掴まれる。。。

厳格な両親から離れ、期待と不安を膨らませるテルマ。
これは少女から大人へと成長を遂げる彼女の中にある、信仰に抑圧された人間の根源的欲求の目覚めを描いた北欧ホラー。

神と悪魔の狭間で鬩ぐ、表裏一体の絶対者と化したテルマの心の揺らぎを様々な映像表現で描写。
鳥や蛇は彼女の心情そのものであり、
森は心の闇を覗き込むように禍々しく、水は精神を浄化し、再生させるモチーフとして見事に捉えられている。
前作「母の残像」同様に情景描写が素晴らしい。加えて超常現象の表現も斬新で、発火に至っては「うわっ」と声が出かけた。
監督のヴィジュアルセンスが窺える。
主演E.ハーボーが繊細極まりないテルマを渾身の演技で体現している。
恐怖し、憔悴した果てに、心に宿る気持ちを確かめ、歩み出す。全ての表情に惹きつけられ、ラストの柔和な笑みは恍惚に至る。
ホラーテイストではあるが、家族ドラマや恋愛青春としてもみれ、余白を残す辺りも好感が持てる。
Monsieurおむすび

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