あくとる

X-MEN:ダーク・フェニックスのあくとるのネタバレレビュー・内容・結末

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ロッテントマトの腐り具合やシリーズ歴代最低の初週末興収といった悪いニュースばかり聞いていたので、期待値は下げ気味で見に行きました。
それが功を奏したのか、私はわりと楽しめましたよ…笑
("わりと"って言い方の時点でお察しになると思いますが…)
ただし評判の悪さには納得。
主に2つの褒めポイントと、いくつかのダメポイントを挙げていきます。





本作鑑賞前にFC、F&P、アポカリプスの三作を見直したのですが、FC以降のX-MENの魅力は何と言ってもマイケル・ファスベンダーとジェームス・マカヴォイという一流役者二人の演技に尽きると思うのです(もちろんニコラス・ホルトも素晴らしいですが)。
本作でもこの二人による素晴らしい演技によって、ドラマにグッと深みが出て見応えがありますし、ストーリーの微妙さ(後述)を補っています。
特にマグニートの悲哀は絶品。
本作でも見事な涙を流していました。
あんなに泣き顔が様になる男はなかなかいないはず。

もうひとつの褒めポイントはヒーロー映画の肝と言える能力描写。
スクリーンの迫力という要因は大きいのでしょうが、平行してそれぞれの戦いを見せてくれたり、能力の派手さやスピード感だったり、シリーズ屈指の出来と言ってもいいのではないでしょうか。
これだけでも鑑賞代金分はあると思います。





ただし、ストーリーにははっきりと難あり。
今回がシリアスな内容になるのは何となくわかっていましたが、いくらなんでも全編を通してユーモアが無さ過ぎます。
ずっとお通夜モード。
唯一軽いキャラ、みんな大好きクイックシルバーは脚本の都合上なのか早々に退場。
あのアガるテーマ曲も流れない。

今回のテーマに関しても、自分はチャールズの考えがよくわかるし、彼が幼いジーンに対してああしたのも致し方ないと思っただけに、最初からみんなで寄ってたかってチャールズを責めるのが納得いかないというか、一人ぐらい賛同する味方が居ても良かったのでは?

冒頭は市民から支持されるX-MENが描かれていてとても新鮮だったのですが、その後は市民からの視線がほとんど無くなるので、内輪揉め感がどんどん強くなってしまいます。

肝心となるジーンの苦悩は「私に構わないで!」みたいなセリフばかりなのでいまいち深みが無く、まるで多感な思春期女子が家出をし、それを家族みんなで連れ戻そうとするような軽さに見えてしまいました。
しかも、あれだけ暴れまわった挙げ句、最終的にはあんなにあっさりと自己解決するならこんな騒動も起こらなかったのでは…。
ジェシカ・チャスティンの起用も何だか勿体無いと感じてしまうような魅力に欠けた悪役。
端的に言って人間の描き方が上手くないかなと。

ラスト、二人のチェスは製作者がどうしてもやりたかったのがひしひしと伝わってくるし、シリーズのファンならグッと来るけど、今回のストーリーの流れからするとかなり違和感。
特にチャールズのラストとしては全くスッキリしない後味。
彼は今回全く良いところ無しでした。
せっかく20 Century Fox製作でのラストというなら、スカッと笑顔で終わらせて欲しかったです。