100 %の正義なんてどこにもない。
老夫婦殺人事件を担当し、真実を突き止めようとする若手検事と、自分の正義に固執し、時効を迎えた事件の重要参考人を執拗に追い詰めるエリート検事の対立はなかなか見応えがあった。ちょっと、事件とは関わりのないエピソードが多かったかな。
法で裁けなかった罪人を、別の事件で裁こうと暴走する検事。描いたストーリーに合わない存在は邪魔となり、一線を超えてしまう。その一線は正義と悪の境界線でもあり、いつものキムタクと見た事のない木村拓哉の境界線でもある。
「どんな役を演じてもキムタク」と言われ続け、前半でそれを感じていたのだが、後半ではそんなイメージから脱却し、新境地を開いた。こんなふうに狼狽する姿は見た事がない。しかし、激突する後輩は強敵だった。激昂し、パッと唇を鳴らして挑発する二宮和也の迫真の演技に、木村拓哉が半分程食われた感じ。
上司と部下、正義と悪の対立に引き込まれたが、その結末はモヤモヤと後を引いた。