竜平

ミスター・ガラスの竜平のレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
4.0
じつは繋がっていた、M・ナイト・シャマラン監督による2作品『アンブレイカブル』と『スプリット』。二つのストーリーが交わる、ちょっぴり新しい切り口で描かれるヒーロー映画。

初っ端から両作品の設定ありきで話が進んでいくために予習は必須中の必須。『アンブレイカブル』から数えると実に19年ぶりの正統な続編ということで、勝手な想いではあるけどその過ぎた年月の重みがすんごい。というのはまぁ置いといて、要するにこれはシャマランによるシャマランファンのための「THE シャマラン映画」であると言える。彼の作品特有のサスペンスホラー的な様相、独特な画作りや世界観が今作でも健在。内容としては、非常に現実味のあるヒーローもの。特殊な能力の持ち主が実際にいたとしたら、世界がどーこーとか大規模な話ではなく意外とこんな感じかもしれない的な。良く言えばリアリティーがある、わるく言えば小ぢんまりしてるという感じ。まぁブームの逆をいく感じは敢えてやっているようにも見えるけど。例えばMCUやDCEUといった昨今のヒーローもの、または大味なアクション映画好きにはこの作品は向かないかも。そもそも好き嫌いの分かれやすいシャマラン映画、今作が続編であるという意味でも、一見さんお断り感は否めない。個人的には非常に面白かったんだけど、ここまで人にオススメできない映画ってめずらしい。

様々な人格を自在に操るジェームズ・マカヴォイの演技無双は必見。年老いて渋さの増したブルース・ウィリスも、表情で魅せるサミュエル・L・ジャクソンも素晴らしい。前2作に出ていた脇役キャストがしっかり続投してるのも良い。シャマラン映画の醍醐味とも言えるどんでん返しも少々。まぁこの映画の存在自体が『スプリット』のどんでん返し部分のネタバレになってしまってるというのは紛れもない事実。いやしかし三部作の歴史の中にまた新たな名作が誕生したのではなかろうか。今作を見てここまでレビューを書いてわかったこと、どーやら俺はもう「シャマラー」。
竜平

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