このレビューはネタバレを含みます
回想シーンで健司が助監督だと分かった瞬間、「病室のおじいさん」は健司の青年期で、「彼が転んでも手を貸さない孫」は恐らく美雪のことだろうと分かるので、結末もある程度予想は出来てしまうのですが、それでも胸を打つラストシーンでした。
好きな人に触れられないという辛さと、数々の傑作の裏で忘れられていく作品のキャラクターとしての寂しさ。レトロで可愛らしいカラフルな衣装を纏い、苦悩を抱えた美雪のピュアな美しさに度々目を奪われます。「お転婆姫」の名に恥じない愛らしい豪傑さと嫌味のない清廉さは綾瀬はるかちゃんにしか出せないものかも。
同時に、美雪を正面から受け止める健司の優しさに、愛することの意味について考えさせられます。手を繋げなくても、抱きしめられなくても、その人を愛し続けるというのは所詮夢物語なのかもしれないけれど、そういう形があっても良いと思う。愛の力にもどうにもならないことは確かにあって、でもそれを共に乗り越えようとすることこそがきっと愛なのだろうと感じます。おとぎ話のような、暖かなストーリー。大切な人と見たい映画です。
