爆裂BOX

カッターヘッド 真夜中の切断魔の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.4
如何にも怖そうなタイトルついてますが、本編で殺人鬼は別に頭カットすることないし、「ヘルレイザー」みたいに頭にカッターついてるような奇抜な格好もしておらず(ジャケの通り包帯巻いたようなマスク姿です)、凶器も手斧を使うのでカッター使う事もなく、真夜中の切断魔というけど切断することもなく朝でも普通に暴れるという、何一つあってないデタラメ極まりないタイトルです。
幼い二人の娘マディとケイラと共に湖畔の別荘を訪れるローラ。夫のショーンは仕事で遅れて到着する予定だった。しかしマディが森の中で拾ったケーキを食べて体調を崩し嘔吐してしまう。そのゲロの中には「HELLO」の文字が書かれた紙切れが。その時、玄関をノックする音が聞こえて…というストーリーになっています。
湖畔にある別荘に休暇に来たら殺人鬼に襲われるという「13日の金曜日」の様な捻りのないスラッシャー展開ですが、襲われるのがチャラい若者達じゃなくて幼い娘二人と母親というのがちょっと新鮮ではありますね。まあ、中身の方はスラッシャーというよりは閉鎖環境で正体不明の殺人鬼に狙われるというスリラー色の方が強い作品になっています。
主人公が母親と幼い二人の娘という事で、まあ、この主人公達は殺されないんだろうなと予想は付きますが、他の登場人物も二人しか出ないので終盤までひたすらこの母娘が正体不明の殺人鬼の脅かされる姿が描かれます。
森の中にティーパーティーのセット用意して、そのケーキに軽い毒とメッセージ書いた紙切れ仕込んでおくという中々手の込んだ事しますが、この脅かし方はユニークだなと思いました。しかしアン亜怪しすぎるカップケーキパクパク食っちゃうマディもどうかしてる。「さよなら」の方食ってたら台無しになってたんじゃないかな(笑)ここでかなりリアルなゲロ映るんで苦手な人は要注意。ガタガタ物音させたり、人形ブランコに置いてたり部屋の中に投げ込んだり、「パパが来れば助かる!」と信じて奮闘する母娘の前にスマホで録音した父親の声聞かせて外に出た所に父親の死体落としたりと主人公達を徐々に恐怖と絶望に追い込んでいく演出は悪くないと思います。ローラがジョンに連れ去られて子供たち二人だけになった時の絶望感は中々のものでした。
ただ、流石に主人公達ビビらせて引っ張るシーン多いのでメリハリなくてダラダラしてると感じる所はありましたね。犠牲者も二人と少ないですし、一人は殺されるシーンも無くて、もう一人の斧が頭に突き立てられるシーンが唯一のグロいと言えるシーンだけど、正直アッサリしてるのでグロさは感じませんでした。
殺人鬼のジョン君は昔この別荘に住んでて行方不明になった少年のようですが、今まで何してたのかとかは全然語られませんね。スマホ使いこなしたり車運転したりと、俗世間から一切遮断されてた訳じゃなさそうだけど。ジェイソンみたいなマスク姿は不気味だけど、一切喋らないキャラかと思ったら子供相手にはベラベラ喋り始めたりしますし、毎年遊びに来る姿見てたみたいだけど、このタイミングで襲ってきた理由もわからないな。前述のティーパーティーとか絵本とか仕込んでたり、芸は細かいんだけど、今一つ存在感というか惹句の「ホラー映画史にその名を刻む」程の魅力は感じなかったかな。目的としては彼らのパーツを切断して人形に繋げようとしてたのか。
主人公ローラを演じるイヴォンヌ・ストラホフスキーは綺麗で娘二人抱えて奮闘する母親役好演してたと思います。でも腕の筋肉とか下着姿になった時の腹筋とか結構あって普通に強そう(笑)幼い娘二人は脱出しようとしても「怖い!外には出たくない!」と泣き叫んでうるさいですが(普通の子供らしいと言えばそうだけど)、ローラが連れ去られた後にケイラが恐怖に怯えながらも妹マディを励まして庇う姿は「やっぱりお姉ちゃんはこういう時頑張っちゃうよね=」とグッときました。
ラストのローラとジョンの戦いも緊迫感ありましたが、ジョン弱すぎ(笑)いあや、ローラが強いのか。ラスト、ブギーマンみたいに消えてたけど、普通の人間ぽかったし、あの場を離れても森の中で野垂れ死にしてそう(笑)
全体的に既定路線な感じでパンチには欠けますが、真面目には作られてるので暇潰しとしてはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。