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Almanac of Fall(英題)
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『Almanac of Fall(英題)』に投稿された感想・評価

"罪人も被害者もいない。皆ただ人間の本能と欲望にしたがっているだけ。"

【STORY】
 老婆ヘディ、その息子、息子の先生、ヘディの世話役、世話役の恋人。5人が一軒の家の中で、金欲や性欲を通してせめぎ合う。


【感想】

 白黒が多めの監督作品群とは対照的にビビッドな照明に彩られた、タル・ベーラ監督4作目の長編映画。

 欲望にストレートな人々を描くからこそ、そのカラーリングが鮮烈に物語を彩っていた気がする。

 ポスターのシーンと、ある人物が床に叩きつけられるシーンの撮り方が印象に残った。基本的に殆ど映像には動きのない会話劇だけど、会話とその照明で話にのめり込ませるからすごい。

---
観た回数:1回
直近の鑑賞:海外版DVD(22.01.30)
benno
3.8
年明け早々…ショッキングな訃報ს

 タル・ベーラ監督が…
…天国へ໒꒱˚.* ( ⸝⸝• · •̥⸝⸝)カナシイ
                 


今作は6作品目にして初めてのカラー映像!! タル・ベーラ監督にカラー作品があったこともビックリ!!



Even if you kill me, there will be no trace of me, only the Devil will be going and round in circles.

    たとえ私を殺しても…
    私の痕跡は何も残らないだろう
    悪魔だけがグルグル回るだけだ

            ー プーシキン ー


映像を観てビックリ!! 大好きなファスビンダーの作品と見紛うくらいで驚きと同時に嬉し〰︎い…特に青、オレンジ、緑の人工的なライティングがとても絵画的…ファスビンダーの《リリー•マルレーン》(未レビュー)を彷彿とする表現主義…同じフレーム内の二人の人物が其々違う色を纏っている

また、タルコフスキーの《ストーカー》を彷彿とさせる室内のシーンもアリ、実験的な試行が窺えます

瞬きしたくないくらいの絵画のような映像美に心奪われながら、ストーリーは一転、只々重苦しいს



裕福な老婆へディと彼女の財産を狙って集まる4人の同居人たちが繰り広げる醜い争いを閉塞的な空間で描いた《室内劇》

攻撃的で定職の無いへディの息子ヤーノシュ
心身共にへディのケアをする看護師アンナ
アンナの恋人で常に不満を抱えるミクローシュ
アルコール依存と金銭問題を抱える元教師ティボル

全編を通して、組み合わせを変えながら1対1のダイアローグで、互いの猜疑心や内省的な告白、騙し騙されの裏切りに陰謀など、時に聞くに耐えない罵倒や殴り合いまで、剥き出しになった人間の本能を見せつけ、終始息苦しいს

代名詞とも言えるゆっくりの長回しは勿論、人物のクロースアップ、ドアやテーブルなどの物陰からジッと見つめるカメラワーク、ビックリしたのは床が透明になっていて真下から捉える乱闘シーンは強烈な印象を残します

また、ストーリーの冷酷さを和らげるヴィーグ・ミハーイの魅力的なスコアは変わらず天才的

ハンガリー語バージョンの《ケ・セラ・セラ》が流れる中でのダンスシーンは冒頭のプーシキンの言葉と呼応するようにグ〰︎ルグル꩜

これは後の《ニーチェの馬》に通じる永劫回帰…


人間の本質は何も変わらない…
切ないですが、でも清々しい…
とことん救いのない絶望感と無常感




  『今の世界は、我々自身が作ったクソだ。』

by タル・ベーラ



R.I.P. タル・ベーラ(享年70歳) ·̩͙꒰ঌ✞໒꒱· ゚
再度鑑賞したので2023年のレビューを追記した。
アパートを「人間社会の縮図」として描き、人間の持つ最も醜いエゴイズムを描く本作。タルが描く世界観は「マグネシット・ホテル」と似ている。
登場人物は以下の5人。

・ヘディ:アパートの持ち主である孤独な老婦人。莫大な資産を持つ。
・ヤノシュ:ヘディの息子。母親を憎んでおり、遺産を早く手に入れたい。
・アンナ:ヘディの看護師(世話係)。ヤノシュの恋人でもあるが、裏でヘディの金を狙う。
・ミクローシュ:アンナの元恋人。アルコールの問題を抱える学校教師。
・ティボル:新しく入居してきた謎めいた下宿人。

ラストが圧巻。ダンスは、変化のの拒絶と地獄のループが続くということか。共通するテーマでラストが虚無になる「サタンタンゴ」の表現への変化は興味深い。
何より本作の画作りはフォトジェニックでカラー作品では個人的には五本の指にはいりそう。

経緯を調べてみると、現実をそのまま映すのではなく、「映画という人工的な空間のなかで、人間のエゴや残酷さを極限まで視覚化する」という新たな挑戦として本作が企画されたとのこと。完全なスタジオ構築された作品で、1980年代初頭のハンガリーが直面していた深刻な住宅難という社会的背景をベースにしつつも、映画は現実の街並みを一切排除し、完全にコントロールされた1つのアパートの室内セットだけで撮影されている。当時のタルは、あえてカラーで撮影されました。青、オレンジ、緑といった毒々しく、人工的な照明を駆使することで、登場人物たちの醜い精神戦を表現する「心理的な空間」を作り上げたのが特徴。この初期の試みは後の「サタンタンゴ」につながるが、個人的にはストレートにメッセージが伝わる貴重な作品として興味深く観た。