北川

さらば青春の光の北川のネタバレレビュー・内容・結末

さらば青春の光(1979年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

「大人になる」ということ。
作中のジミー以外の若者達は、皆間違っていて、それに薄々気付いてはいながら、でも解ってはいない。それが、終盤の暴動で目を醒ますが、主人公のジミーだけは全く気付けてすらいない。
一方、大人達。ジミーの父親は、テレビに映るザ・フーを見て、理解を示そうとはしないが、明らかにモラルが備わった人間ではある。他の大人達も、ジミー達を理解しようとはしないが、良識ある対応をしている。その対比がかなり上手く若者の描写を引き立てている。

ジミーのやること全てが間違っていて、観ていてずっとキツい。
だからこそ、ラストのシーンがとても清々しい。ジミーは前科者にもなってしまったが、まだ若いので、それからどう生きるかだ。

ケヴィンと「モッズとかロッカーじゃない。どういう人間かだ」という話をしているのが真理。そして、どっちも人として間違ってた。その結果が終盤の暴動だからな。
掃き溜めの中から抜け出なきゃいけないのに、そこに帰属しようとする。マドンナのステフもアバズレ。
自分達の間違いにいつ気付くか?それを、ジミーは最後の最後に気付けた。

終盤まで、『Quadrophenia』の曲はそんなに使われないし、使われても一瞬で切られるので、ロックオペラ映画と言うのはちょっと違うんじゃないかと思ったけど、OPやラストなどでガッツリ使われてるのは最高。『My Generation』など初期の曲も勿論良い。使うんだ、と思ったけど。
急にスティングが出てきたのは驚いた。そして、重要な役だし、演技ちゃんとしてるし。
登場人物のコックニーが作品に合った良い味。
久しぶりに『トレインスポッティング』観て、スコットランド訛りも聞きたくなった。

『さらば青春の光』って良い邦題だな。まあ『四重人格』で売れるわけないけど。
北川

北川