ダメハム

ウィンター・ウォー 厳寒の攻防戦 オリジナル完全版のダメハムのレビュー・感想・評価

3.8
1989年のペッカ・パリッカ監督作品。1939年、ソ連がフィンランドに侵攻した冬戦争をフィンランド側から描いた197分の大作。

前半50分は、列車移動と陣地構築に費やして緊張感のない描写が目立つけど、その後は最後まで第一次世界大戦のような塹壕戦を繰り広げる。とにかくとんでもない火薬量の爆発に圧倒される。本物の銃・戦車・飛行機のリアル感は格別。下手なCGに見えたあの曳光弾も本物なんだろうなあ。

そして広範囲の戦場を捉えた引きの画の説得力が半端ない。ソ連軍の人海戦術の恐ろしさが嫌でも分かるね。いくら倒しても切りがなく、無数の敵が前進してくる恐怖。尽きない砲弾の雨といい、圧倒的物量差を感じざるを得ない。あと、ゴア描写に気合が入ってたね。

同郷の戦友たちが次々に死んでいく様がつらいけど、人物と名前がなかなか一致せず判別できなかったのが残念。もう少し心理描写に重点を置いてほしかったな。ラスト、多くの戦友を犠牲にして侵略者から祖国を守るために戦った、その帰結を迎えたときのマルティの表情に全てを持っていかれた。無念。

でも、ソ連1億7000万人とフィンランド350万人の人口差でよくソ連を足止めできたなと本当に感心してしまう。
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