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ローラーボールのcatmanのレビュー・感想・評価

ローラーボール(1975年製作の映画)
4.0
1975年公開。70sテイストの癖が強いディストピア系バイオレンスSFアクション。良いですねえ。パイプオルガンがバッハを奏でる不穏なオープニング。暗い画面に浮かび上がる「ROLLERBALL」のタイトルロゴがめちゃめちゃイカす。デザインの勝利。身体を張った危険度の高いスタントによるローラーボールのゲームシーンに熱くなる一方で、国家を支配する企業の陰謀によって主人公が追いつめられるドラマパートは展開がもったりしていて退屈してしまう。子供の頃にテレビの洋画劇場で観て以来の鑑賞なんだけど、全体的に陰気なムードが漂っていてこんなに暗い映画だったのかとちょっとびっくり。ただそれが悪いばかりではなくって、テンポが重くて劇伴も殆ど鳴らず、俳優の演技も含めて情感に乏しい演出は本作の終末的な世界観を上手く表現しているとは思う。支配層に抗うジェームズ・ズカーンが時折見せる空虚な表情が印象的。彼も良い顔してますな。
あとスターウォーズ Ep.4のデススターでヴェイダー卿にチョークされるモッティ提督を端役に見つけてテンションが上がった。観客席の中に彼の顔がチラッと見えただけで直ぐに分かったぞ。

観終わってから監督のノーマン・ジュイソンが先月に亡くなった事を知る。自分にとっては「シンシナティキッド」と「夜の大走査線」の人。合掌。
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