持て余す

バーフバリ 王の凱旋の持て余すのネタバレレビュー・内容・結末

バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

破格のインド映画後編。
前編でシヴァガミの「心得よ!」に心酔してしまっていたので、その点はなんだか残念な気持ちになってしまったよ。

前作からの長い長い歴史語りが後編に入っても続くし、タイトルからも偉大なる「バーフバリ」にまつわる話なのだけど、視点からするとシヴドゥ=マヘンドラが主人公ではある。国王になる筈だった、国民の誰もが敬愛する伝説の男、バーフバリの息子が復讐を成し遂げるまでの物語──といったところか。

前編の終わりにバーフバリの最も忠実な僕だったカッタッパが、自らのバーフバリ殺しを告白していたが、そこまでに至るとても負荷の高い物語が展開される。

それにしてもだ。

自分の実子ではなく真に力を持ったバーフバリを国王に推挙した賢者であったシヴァガミが、あんな程度の低い奸計であっさりとバーフバリを切り捨ててしまうことが受け容れがたい。前編での勇ましい国母の姿からすると信じがたいほどに頭が悪くなってしまった。時の流れで言っても、耄碌するほど歳をとっていない(どころか、間もなくぐらいの話だよね)ので、これが理解できない。

せめて、前編にもその兆しのようなものがあれば、「なるほど、そもそもこういう人だものな」と納得できるけど、これはもう別人レベルで後編のシヴァガミは愚かしい。頑迷で大局を忘れてしまい、道理があってバーフバリを国王に選んだのに、感情的にあっさりと撤回してしまう。

これは物語の展開上の犠牲なのか、それとも歴史上のインドの王族はああいうものだったりするのかね。バーフバリの死やカッタッパの告発でようやく目を覚ましてマヘンドラを命を賭して逃したけれど、あれでチャラにはならないでしょ。途中、嫁姑的ドメスティック(国内問題の意味でなく)な理由で国政に大きな影響を与えたわけだし。

──という高負荷が続くので、ラストの愚王バラーラデーヴァを打倒するクライマックスシーンは気持ちがいい。犠牲者代表デーヴァセーナのスタイリッシュな儀式との合わせ技で、途轍もない爽快感。馬鹿みたいな黄金像の頭が再利用されるところなど、なんとなく予想はできていたけど、ゲラゲラ笑った。

インドの映画にはまだまだ苦手意識があるけど、こういうのならまた見たい。
持て余す

持て余す