サンフランシスコのワンナイトスタンド。
街歩きで深まる二人の恋が、再開発と高級化、黒人人口の減少といった街の様相も照らし出す。
黒人男女の恋と文化的/社会的相違を語るマンブルコアと、ジェンキンス監督らしいナイーブさが共存して、当時は新鮮だったろうな〜でも今は懐かしいな〜とくすぐったい2008年長編デビュー作。
日常を見つめる自然主義的絵の中にサンフランシスコの歴史と背景を入れ、人種の視点と経済格差で軋む男女の恋が優しく辛く描かれる。
街を嫌いながら愛し、黒人が日曜の午後に美術館に行くなんてと白人と付き合う彼女を揶揄するように言い、黒人がいるバンドが少ないと不満を漏らしつつ白人インディーバンドの演奏で踊りまくる主人公の姿が切なかったりした。
撮影は『ムーンライト』『ビール・ストリートの恋人たち』とジェンキンス監督とタッグを組み続けるジェームズ・ラクストン。
セピアともモノクロともつかない微妙な色合いの中で揺れる男女を親密な距離感でとらえてた(この後に『アメリカン・スリープオーバー』参加するんだね)。
選曲がまた監督のこれまでの作品の印象とも違って面白かったけど、最後の曲がストレートすぎてワラた。
https://youtu.be/koUMRD0nDzY
期限付き恋モノなので、『ビフォア・サンライズ』やら『ウィークエンド』やらホン・サンスやらウォン・カーウァイやら色んなものが頭をよぎったり。
クレール・ドゥニっぽいなとも思ったけど実際、ドゥニの『Friday Night』に触発されたらしかった。へぇ〜。
https://www.indiewire.com/2008/09/indiewire-profile-medicine-for-melancholy-director-barry-jenkins-71789/