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リバー・オブ・グラスのyaekoのレビュー・感想・評価

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)
3.7

てっきり、アラサー女子が前向きに人生を生きようとする話かと勝手に思い込んでいたわたしは、ジリジリとボディブローを喰らい、最後のアレで無事K.O.されました。
ずっと気になっていたケリー・ライカート監督の作品、まさかこんなデビュー戦になるとは。

本当に、監督の描いた通りの「ロードのないロードムービー、愛のないラブストーリー、犯罪のない犯罪ムービー」だった。このなぞなぞみたいな言葉が成立してしまうなんて不思議なんだけれど、振り返ってみるととてもしっくりくるからそれこそまた不思議。

何者かになりたくて、憧れる時期ってあるし、なんなら未だに不定期に予告なく来られたりもして困るやつだけれど、
その肩書きでさえもコージーは欲しかったのか。
このままなにもない、なにもなかった逃避行で終わるのかと思ったら、あのエンディングだもんなあ、、、きっとそのアポイントのない訪問者を、コージーは中に入れてしまったんだろう。

孤立感、閉塞感、色々我慢して諦めた結果、なんとも無気力で、吹っ切れてしまったような印象を受けたコージーは、あの肩書きを得て、高速道路の先には辿り着けたのだろうか。

“1日はだらだら長いのに、1年は一瞬で過ぎるのが不思議。”
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