他にレビューしている人が居ないので、多少は真面目に書こうと思う
注目されていた事件を勝利に導いた弁護士が、路上で血塗れになって発見される。その傍らには何故か性玩具があった。
搬送先の病院へ駆け付けた妻は、事件の真相を求めながら、夫の社会的名誉も守ろうと奔走する。
粗筋にすると、こんな具合
90分程の尺から、スリリングなサスペンスを期待すると肩透かしを喰らうだろう。
観客は、最後まで事件の真相を知らされる事もなければ、目紛しい場面展開に身を乗り出したくなる事もない。
物語は殆どを手持ちカメラの長回しで、人物の表情を中心にドキュメンタリーライクに綴られる。
舞台も殆どが夜間の病院に終始する為、背景も簡素極まりない。病院の構造を活かした、所謂「映画的」なショットも存在せず、淡々と、悩み苦しむ主人公の姿が描かれる。
その分、時折挟まれるフィックスやスライダーを使った風景のショットが際立つのだが、いかんせん、本筋のカメラが全く面白くない。
展開それ自体も非常に緩慢で、正直かなり厳しいものがある。
それでもどうにかラストまで観ると、成る程、腑に落ちる。
結局どうなるのか、という一点に頼った作劇は荒いが、全てラストに向けた主人公の心理描写なのだと思えば、理解は出来る。緩慢な展開も然り、事件の真相も、動機付けであってそれ自体は問題ではないのだ。
とは言っても、やはりこれで90分は厳しいものがある。