アキラナウェイ

英国総督 最後の家のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

英国総督 最後の家(2017年製作の映画)
3.7
1947年、第二次世界大戦で疲弊したイギリスは300年間支配してきたインドの主権移譲を決定。独立を円滑に行う使命を帯びたルイス・マウントバッテンが最後のインド総督として着任する様子を描いた作品。

さ、300年!?
な、長げーー!!

"円滑なインド独立"とは言うものの、当時インドでは、人口の大多数を占めるヒンドゥー教徒が望む統一インドの独立と、少数派となるムスリムが望むパキスタンの分離独立で意見が分かれていた。

独立交渉が進まない中、インド各地で暴動が発生。事態の鎮静化を図りたいマウントバッテン(ヒュー・ボネヴィル)は、インド・パキスタンの分離独立を決断する。

マウントバッテンが居住する総督官邸の、まぁ豪華な事!!

500人の使用人。
大広間が34、迎賓室が34、
食堂が10、映写室もある。
一人暮らしの僕のウサギ小屋と比べて、どうなのこの広さ!?

1つの国を2つに分断させるという事。
その作業は想像以上に煩雑で。

ティースプーンもバターナイフも、
チューバもホルンも、
総督官邸内にある全てのものが
インドかパキスタンに仕分けられていく様子が面白い。

パキスタンの分離独立を推し進めるマウントバッテンに対し、統一インド独立を諦めるべきではないと諭すエドウィナ・マウントバッテン夫人(ジリアン・アンダーソン)。

共に働いていた同僚も、
自ら国籍を選び、それぞれの道へ。

そして、なかった筈の国境を引いていく作業の難しさよ。ある日を境にこっちがインドでこっちがパキスタン、なんて具合に分かれてしまうんだもの。そりゃ混乱の極みだわ。

暴動、大虐殺の恐ろしさ。

結ばれていた愛も、分断される—— 。

ヒンドゥー教徒の男性とムスリムの女性も、その運命に翻弄され、引き裂かれてしまう。

ラスト10分の奇跡。
これは泣けた。

僕の永遠のマドンナ、「X-ファイル」のダナ・スカリー役でお馴染みジリアン・アンダーソン目当てでの鑑賞。

歴史モノだし、難解で退屈かと思いきや、
想像以上にわかり易く、かつドラマティック。

分離独立で1,400万人が移住を余儀なくされ、
各教徒の100万人が命を落としたという。

パキスタンからインドに移住した、とある女性と家族達。離れ離れになってしまった夫は1年半を掛けて難民キャンプで家族を見つける。

その孫娘が本作の監督だと言う。

なるほど、真に迫る筈だわ。