英国総督 最後の家の作品情報・感想・評価

「英国総督 最後の家」に投稿された感想・評価

第二次世界大戦で疲弊したイギリスが約300年続いたインドの主権讓渡を決定したことからデリーにあるイギリス領事館に着任したマウントバッテン総督家族とそこに働く宗教間の違う恋人の悲恋を絡めて描いた歴史大作。

「(英国は)ソ連のためにナチスやジャップを倒したわけじゃない」
という台詞が物語るインドとパキスタンの分離独立の裏ストーリーも必見👀

BBCの白黒フィルムが物語りをより重厚なものとしてます。

マウントバッテン夫人を演じたジリアン・アンダーソンの演技が素晴らしい👍
年配のご婦人に見られるような少し猫背で気品のある英国総督夫人を見事なまでに再現しています👏👏👏

煌びやかな領事館はもちろんのこと、そこに勤めている500人居たというの使用人の鳥瞰カットにイギリスの栄光を垣間見ることが出来ます✨✨✨

ただ、ラストにかけて感動の余韻を《泣かせる》というあからさまな展開に強引に持ってくのはいかがなものかと思いましたが、案の定まんまと号泣させられたので良しとしましょうwww

ちなみにこの作品、パキスタンでは上映禁止になってます😫
英国のインド返還の際の史実に基づいた物語。こんな歴史的な背景、取引、決断があったのかと驚かされる。最後の総督の人間性、奥さんの適切なアドバイスはなかなか説得力がありました。でも、国を二つ割るとは大変な事をやったなぁ。
独立前夜のインド総督邸を中心に、時代の激流に翻弄されるさまざまな身分の人間のそれぞれのインドに対する想いを描く。

終戦後のインド独立までの流れは世界史の教科書にでも任せるとして、こういう映画を観ると、どんな時代にも人々は普通に生活していて普通に喜んだり悲しんだりしているということを思い出せる。

インド・パキスタンの分離独立はかの時代を生きたインドの人々だけでなくその周辺国や関係国にとってもいうまでもなく重大な出来事だったわけだけど、それがどのように重大だったかというとひとりひとりにとって異なったのだろう。

誰か一人の心情にフォーカスしていないように見える作り方も、そのような個人個人にとっての独立の捉え方の違いを描く意図があったのかもしれない。

わかりやすく面白い!ってわけではないけど、落ち着いて見ていられる。

そう思った映画。
BBCが制作しただけあってまるでBBCの歴史ドラマを観ているかのよう。ダウントン・アビーのヒューボネヴィルが出てるし。
重厚で豪華なんですが映画としてのスケール感はいまひとつ。特に暴動シーンはマニラトナム監督の「ボンベイ」と比べてしまいどうしても見劣りしてしまいます。

ダイナミックさには欠けるものの最後のイギリス統治から印パ分離独立までの過程が分かりやすく描かれていて興味深く観ることが出来ました。
ムスリムとヒンドゥーの男女の恋愛パートも国を分ける苦しみの比喩として効果的。
イギリスのしたたかさに翻弄されるパッテン卿がアラビアのロレンスを彷彿とさせますが、ロレンスと違いあからさまに飾りもののお人形さんといった体なのがなんともお気の毒。
映画の最後に当時の映像が流れますがご本人は役者のようにハンサムで上品な方でした。
記録
ポスター 邦題から感じる印象とは違った。
インド パキスタンの歴史を調べてみようと思った。
スカーリー いい奥さんでした。インドの為、夫の為 尽くす姿素敵です。
サイドストーリーもよかった。

ラスト 安堵しました。
八巻綾

八巻綾の感想・評価

4.2
時間的にちょうどいい映画がこれしかなく、ビジュアルだけ見て「なんだかホンワカ平和系の話なのかなあ」くらいの気持ちで観たら、全然違った。本気度100%の社会派歴史映画だった。パッと見の印象と違いすぎるんだけど、なんでこのビジュアルなんだ?

1947年イギリス占領下のインド。最後の総督として、【ビルマのマウントバッテン】ことルイス・マウントバッテン卿が妻子と共にやってくる。当時のインドでは、イスラム教、インズ―教、シーク教など宗教同士の争いが激化しており、統一国家として独立したい多数派と、パキスタンとして分離独立したいムスリムとで意見が対立していた。王家の血を引く貴族らしい公平さと、温かみのある人柄で各指導者たちと心を通わせたマウントバッテンは、各地で悪化する虐殺を食い止めるため、分離独立の方向に急いで舵を切るのだが……。

インド独立前夜のシビアな状況と、インドとパキスタンとに祖国が分かれることで生じる悲劇を描いた意欲作。監督の祖父母が分離独立に際しての移動で大変な目に遭ったということで、当時の人々の気持ちに寄り添った内容になっている。政治的な動きはマウントバッテンと周辺の人々との葛藤で表現し、インドの人々の苦しみは、総督の邸宅で働く1組の男女の悲恋を描くことで象徴的に表現している。

豪華としかいいようがない英国総督の邸宅の様子と、民衆が暮らす町の描写の対比。そして、暴動が悪化してからの血と埃にまみれた画面。チリひとつない環境で交わされる会話によって全てのことが決定されるが、その結果として影響を受ける数億の人々は、命を繋ぐこともままならない状況に追い込まれる。分かってはいることだが、言葉の軽さと状況の重さが怖ろしい。そして、マウントバッテン夫妻はその落差を十分すぎるほどに分かっていて、苦しむ。

マウントバッテン卿とその妻は、偏見がなく友好的な平和主義者として描かれている。特に妻はその傾向が顕著で、前半は彼らの公平さと、他の英国人の差別意識とが浮き彫りになるシーンが続く。そんなマウントバッテン卿が選んだ道が、結果として数多くの不幸を生み出したということが悲しいのだが、仮に違う道を選んでいたところで、多くの犠牲が出たことには違いないわけで、その辺りは冷静なトーンで描かれている……というか、論点を別の次元に持っていく展開になっている。ちょっとスパイ映画っぽい流れで「おおっ」となった。(注:スパイは出てきません)

ラブストーリーパートは正直リスキーだったと思うが、チープにも転ばず、蛇足感も出ない絶妙な塩梅でまとめていたと思う。役者たちの抑え目の巧みな演技と、多くを語りすぎない会話が良かったのかもしれない。マウトバッテンパートがどうしてもセリフ量多めになってしまうので、ラブストーリーパートの(心の動きとしては)激しいながらも、見え方としては控え目な進行具合がちょうどよいバランスだった。そして、ずっと抑え目だったからこそ、クライマックスの激動ではまんまと泣かされた。

マウントバッテン卿の妻エドウィナは恋多きエネルギッシュな女性だったそうだが、本作では彼女の恋愛についてはノータッチ。でも、賢く魅力的な女性という面は十分に描かれていた。演じているのは『Xファイル』のスカリーでおなじみのジリアン・アンダーソン。かなり雰囲気変わったのね!気付かなかった。

良い映画です。オススメ。

ryo

ryoの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

正直観るか観ないか悩んでたんですが、映画集まりの人たちからこれは観ないと!と勧められ鑑賞。

結果、観て良かったです!
良い映画。

映画の作り的にも綺麗やし、なにより総督のお家がすごいなぁとずっと思ってました。
あとはスカリーがいい役でした。
もっと大々的にやってもいい映画やと思うんですけど。

しかしインドのヒンドゥーとムスリムの関係はほんまに、ね…と改めて感じます。宗教…難しい。

そしてラストの監督の事に関するところが一番震え来ました。
Snowkuouks

Snowkuouksの感想・評価

4.0
印パ分離独立に至る歴史の大きな動きを踏まえたうえで、そこで引き裂かれる恋人たちの姿を描くことで、かなわなかった可能性への祈りのようなものさえ感じられた。当時の難民の子孫としての監督の立ち位置をしっかり踏まえている印象。
1947年は、我が国は敗戦の混乱期の真っただ中、インド独立の混乱に興味を持つ余裕さえなかった時代であろう。

でも、本当は日本の参戦が大いにインドの独立に影響を与えたこと間違いのない事実である

チャンドラ・ボース亡き後、インドの独立体制をどうするかはガンディー、ネルー、ジンナーらのインド側の指導者に大いに左右されたように見えるが、本当はチャーチルらのしたたかなイギリス外交が糸を引いており、マウントバッテン卿は単なる狂言師に過ぎなかったというのが、この映画の肝である。

ルイス・マウントバッテン、この何だかカリスマ性があるのかないのかわからない貴族のボンボンがうまく演じられている。

夫人のエドウィナは、実際にもいろいろ物議を醸しだした女性らしいが、何とXファイルのスカリー捜査官とは!

昔、ネルーの非同盟路線を賞賛し、パキスタンの親米路線を批判したマスコミが多かったような気がするが、歴史は年月を重ねないと評価できないものだとわかる。

英国は300年のインド支配をこういう形でけりをつけたが、我が国は僅か数十年の支配をした半島国家から未だ・・・・別れ方が下手なのか。

比較的纏まった脚本であり、歴史の勉強にはもってこいの佳作です。
Sios

Siosの感想・評価

3.8
最後の最後まで、支配の影響が濃い。
罪深いイギリス。

主権を返す役を果たすためインドへ来た英国総督マウントバッテンだが、宗教指導者たちの対立やロンドンの思惑が絡んで任務は難航。
地図に国境線を引くのは結局人間なんだなあ。偉人ガンジーの理念からずれていってしまうのが辛い。

誠実だけどどこか頼りにならない総督の役柄は、ヒュー・ボネヴィルにぴったり。
あと秘書アーリアの婚約者がえらくオジサンになっちゃってて、そりゃあ気持ち揺れるよねと同情。
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