なんとなく「悪い奴を懲らしめる」こと=「正義」だと信じ切ってる価値基準にメスを入れられる。
これは17年の作品だけど、正義を不用意に振り回す人が台頭する今でこそ刺さると思う。
1~3章で法廷モノ→スリラーへのジャンル横断をするけど、1,2章で主人公を全力で応援させるような作りになってるから、3章での行動を一瞬でも指示したくなってしまうけど、彼女が一度自分の倫理観と戦った上でフェイントをかけるから観てる側も「マジでその決断でいいの?」と揺さぶられるんだよな。
で、主人公もバキバキにコカイン吸ってリストカットするような絶対的に「正しい人物」ではなくて、法廷で正しくないところを攻められて不利になりそうになったりするのがまた正義の基準を曖昧にする。
一度目から二度目に至るまでの演出がズッシリとくる。
主人公がどれだけの感情と向き合ったのかは受け止めきれるものではないけど、「二度目」の決断が向かわせた結末は決して「正義」でもなければ「断罪」でもない気がする。