ATSUSHI

女は二度決断するのATSUSHIのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
-
できればこの映画は二度と見たくないし思い出すのすら嫌なのだけど、時期が時期なのでもう少しまともにコメントを


どうやら獄中婚らしきカップル。子宝に恵まれ仲睦まじく暮らす家族のはずが突如訪れる爆撃事件。泣き崩れる母カティア。
これがタイトルインまでの開始10分。まずこんなに心が壊れるオープニングもなかなか無い

愛する家族を失う絶え間無い痛み、決して楽な死に方だったとは言えないあの解剖結果、誤った捜査を続ける警察と政界への怨み、まるで誰も助けてくれない孤独…
正直、一本の映画にここまでの絶望を注げるのかと言葉を失ってしまった。

章立てでこの物語を扱う事の重み、ネオナチ極右によるトルコ系への攻撃が絡む多くの事件、ダイアン・クルーガーの熱演など充分すぎる程の説得力で、ドキュメンタリーを見るかのような錯覚すらある。
そんな観ててこっちが死にたくなるような話で監督が主張するのは<暴力ではなく対話をもって解決せよ>という事。またして難題が極まる…


やっぱりホラー映画なんかより1人じゃ抗い切れない現実の方がよっぽど怖い