ニシカ

ヴェノムのニシカのレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
3.7
"光が輝いてこそ、影の闇が増す。"


敏腕記者エディ・ブロック(トム・ハーディ)は、秘密裏の人体実験で死者をだしているというライフ財団の真相を追う中、財団本部に侵入し蠢めく謎の物体に接触してしまう。それはシンビオートと呼ばれる地球外生命体だった。この意思を持った生命体との接触によりエディの体は寄生され、その声が聞こえるようになる。シンビオートはエディの体に寄生することで一体化し、ヴェノムとして地球に命を宿す。エディは自身でヴェノムをコントロール出来ない恐れと危機感を抱きながらも、エディとヴェノムの二人の敵が重なることで寄生は共存へと形を変え始める、。

 ◇さて、制作は?
MCUのロゴが出る前にSONYのロゴが大きくスクリーンに出てましたね。SONYがメインで製作しているんです。スパイダーマンの実写化の権利を持つのはSONYなので、MCUにスパイダーマンは参戦することができなかったわけです。それが昨年の「スパイダーマン・ホームカミング」からよりファンに楽しんでもらう為にと取り交わされたMCUとの契約により(金策の一面も勿論あります)、あちらの世界と繋がることが出来たことでヒーロー達の往来が可能になったわけですね。本作でも少しはゲスト出演があるかもと思っていましたがちょっと残念。。続編では出演があるかもですし、ひょっとしたらハーディヴェノムが他作に出てくるかもですね。楽しみにしておきましょう。

今作を手がけるのは「ゾンビランド」のルーベン・フライシャー監督。ダークなヴェノムがコメディーの要素を持ったのは監督の"色"でもありますね。監督の選定からも残虐な作品を作ることより、少し面白みのあるエンタメ路線で進めようとしていたのがわかります。

主人公の敏腕記者エディ・ブロック役にはトム・ハーディ。「マッドマックス/怒りのデス・ロード」を繰り返し観すぎた為に、トム・ハーディの顔が映る度に今でもヒャッハーっと頭にマッドマックスの映像がチラつきます。

エディの恋人で弁護士アン・ウェイング役に、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、「グレイテスト・ショーマン」のミシェル・ウィリアムズ。チェックのミニスカートで駆ける姿がめちゃめちゃ素敵でした。

◻︎観終わって、。
寄生獣ではなく、ど根性カエルな作品と公開前から賑わってましたがまさにその通りのバディムービー。ヴェノムとエディはお互いが正反対の性格でそれぞれに足りない部分を補うコンビではなく、本質的には思想や性質がある意味似た者同士、それゆえの共鳴による力の増幅を想像させるバディに思えます。だからこそ二人?の掛け合いが時にユーモアであり楽しく見えてくるのでしょう。

前半のヴェノムの誕生までが長く後半の展開が短かく駆け足すぎる。これはヴェノムの誕生とエディのキャラクターをしっかり見せる為に必要なことだし、本作における悪のポジションにあたるライフ財団の背景を描いているゆえですが、ストーリーを丁寧に作り込んだ分、後半の展開やバトルが早い!勝てる可能性は0に近いと言った直後から互角のバトルを繰り広げ、ロケット発射の五分間がラストバトルの舞台となっているので決着時間はカウント方式にわかるわけですが、脚本も含めて雑というか荒い進行なんですよねぇ、、。もったいない。。エンディングのスパイダーマンのアニメを削って本編をもう少し膨らませた方が良かったのでは、、。
とはいえ、一体となったアクションは面白く、坂道が多いサンフランシスコの街道を駆けるバイクと車とドローンによる現代的カーチェイスはエディのバイク技術とヴェノムの能力を活かした逃走劇になっており一見の価値があります。そして、二人の出会い直後に発生したこの逃走劇は吊り橋効果を発揮して二人はある意味でお互いが恋に落ちるわけですね。なるほど〜。


悪い奴は喰べていいよ♡という良いキャラなんだか悪いキャラなんだか曖昧でなんとも中途半端なダークヒーローゆえ(まぁだからヒーローサイドなんだけど、、)、"最も残虐な悪"というキャチコピーで作品を誤解させていることが評価を分ける一つのポイントになってしまっている。輝くヒーローがいてこそ、ダークヒーローもまた際立つゆえ、本作のように従来の敵役が主人公となると、その物語と魅せ方のシンクロが難しいのでしょう。次作はおそらくヴィランとなる連続殺人鬼クレタス・キャサディが最後にチラリと姿を見せましたし、スパイダーマンを含めた三つ巴戦が楽しめるはずですよね⁈
ニシカ

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