Zawa

ジュピターズ・ムーンのZawaのレビュー・感想・評価

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)
4.1
011/8.2

○冒頭の密入国〜逃亡〜銃撃〜空中浮遊のシークエンスがまず素晴らしい。ワンカットが続くため、緊迫感が半端ないが、映像はたえず美しい。
○後半のカーチェイスは撮影がシンプルそう(追いかける側の車のフロントバンパーにカメラを取り付けただけ?)なのに物凄い迫力。クラッシュしてからの映像にも驚愕。
○インダストリアルな質感のあるビートミュージックをはじめ、サウンドデザインも全般良い。
○信仰するものなどなく、地べたにばかり目を向けて生きる現代人。その代表者たるシュテルン医師の最後の表情が素晴らしい。詐欺まがいの方法で「救い」を売っていた彼が最終的に至った境地をセリフなしに表していた。
○浮遊カットはどれも見せ方に工夫が凝らされていて新鮮。マンション室内の重力を狂わせるシーンは恐ろしく、ラストの夕焼けに照らされたブタペストを浮遊するシーンは崇高。絶対に映画館の大きいスクリーンで見るべき。
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●上に書いたような劇的なシーンに比べると平場のシーンはやや弱いか。人によっては退屈に感じるかも。
●解釈しきれない点がいくつか残るため、楽しかった! というような映画ではない。『ゼログラビティ』的なものだけ期待して観に行かないほうが良いかと。
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