TaiRa

ジュピターズ・ムーンのTaiRaのレビュー・感想・評価

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)
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ワンちゃんが凄かった事くらいしか印象に残ってない『ホワイト・ゴッド』の監督なので大丈夫かなぁと思ってたけど、前作より面白くなってた。

主人公にカメラが密着して長回しを多用するのは『トゥモロー・ワールド』や『サウルの息子』の影響をモロに感じる。オープニングの難民が国境を越える一連のワンカット風シークエンスなんかも『サウル〜』っぽい。『トゥモロー〜』と同じく、くたびれた中年男が「奇跡の子」を守る事に命を賭ける話なので影響大。宙に浮く事が出来るようになった移民の青年にまつわる「現代ヨーロッパ」の映画で宗教的イメージを引用しながら奇跡を描く。やはり今のヨーロッパも大概厳しい状況なのだなと。奇跡に頼らなくてはならないくらい。無重力表現は単純な特撮なのに割と自然に見えるから凄い。ネオナチの部屋を一回転させるシーンが凝ってる。恋人の女医がある瞬間、急激に虚しくなってしまう場面が良い。画面がグルグル回るので三半規管弱い人はゲロっちゃうかも。
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