このレビューはネタバレを含みます
きっと多くの人が密やかに抱いているであろう:
実直で寛容で紳士的、名声もあるパートナーとの愛ある満たされた生活
一方で自分勝手で強引で、
時に苛立ちさえするけれど
強い感情を引き起こさせ、
背徳感と官能を存分に味わえさせてくれる魅惑的な相手との刺激的な生活
という相反するものへの渇望
片方が満たしてくれないものを
いつもその片割れが満たす
鏡のような二つの魅力にのめり込んでいくけれど
最後は自分が取りこんでいた双子の姉を摘出したことと
(植物人間となったサンドラはもう一人の自分の分身、生き様としての双子の姉。)
幻想の中で兄を殺すことで
この相反する欲望と訣別できたってことになったのだと思う。
どこからが幻想でどこまでが現実かときに境界が曖昧な世界で
感情はとてもリアル
クロエが
あなたといるときは彼を思い
彼といるときはあなたを思う
って言うシーンがあるけれど
あれが妙に生々しい。
ところで
よくよく考えてみると
もしかしたら双子の兄の存在自体が
クロエの子宮にいた姉が見せた幻想だったのかもしれない