れん

ビューティフル・デイのれんのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
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過去はパタパタと閉じてゆくのがいい。出来れば2度と開かないよう、間違って開けることがないよう、ちゃんと閉じられていること。それならばきっと悪い夢は見ない。
でもトラウマは幼い頃まで遡り、悲鳴や痛みを連れて来る。何度も繰り返しそれを浴びてしまうと、今も、そして未来も、全て塗り込められてしまう。悪いものたちは大きく口を開けて楽しげに絶叫し始める…
天国を歌う曲、パラダイスの歌詞のある曲が流れる中で人が死ぬ。ジョーも死に取り憑かれた男だけれど、ここでの死は究極の安らぎにも見える。生きていくことは、何度も精神の死を繰り返すこと。本当の死はいつ訪れるのだろう。
ホアキン・フェニックスは内面を、苦痛を表現するのに長けた役者だが、そろそろその手の役から出してあげたくなってしまうのは私だけかな。
ダイナーのテーブルの上の食器たちに希望を残してゆく彼ら。
今日はいい天気だからね。
れん

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