余白が多く見終わった後に強く余韻を残す作品は個人的に大好き。
この作品も説明やセリフを極限まで削って映像と音楽で魅せる。
フラッシュバックのように挿入される虐待された経験やPTSDの過去シーン、現在のシーンは説明がないから主人公が分かっていることしか分からず同じ体験をしている錯覚をする。
それがより緊迫感が高まり同じ体験をしているよう。
寡黙で孤独な主人公を演じるホアキン・フェニックスがただただかっこいい!
母を亡くし、すべてを失った彼が死を決意してもなお、生きるという全く正反対の選択をしたのは誰かを助けるため。過去の凄惨な経験を重ね合わせた結果だと思う。
原題の「You Were Never Really Here」をビューティフルデイという邦題にしたのは孤独な主人公の再生と救いの物語と重なって、現実と非現実の狭間を生きていた主人公に優しい光を当てているよう。