「愛がない」状態ではない、憎む恨むでもなく、
〈愛がない関係性を行為で表現せずにいられない感情〉をさす新語が必要。
ハネケのセブンスコンチネントから現代的に深度が深まった感覚、
貧困や紛争を乗り越えた先には、哀しくもまた別の問題が生じているという同じ根です。
「善く生きなさい」との教えを無視したところで
満たされた生活は多少がんばれば手に入る。
愛が生きることに必須ではなくなった時代、
人間の関係性は家族間であろうと崩壊の危険に晒されている。
この映画が示したのは問題提起のみで救いは何もないんですね。
終幕のカットではただ少年の投擲したリボンがはためくのみ、
考えていく役割は次の世代に託さなければいけない。
さあ、このリボンを見て何を感じますか?と問いかけられ、
考えることをやめてはいけない。