永遠に生きられる人間は一人もいない＿。
健康なまま、年齢を重ねてこられた彼。これまでの人生でも割と得をしてきた彼をみな”ラッキー”と愛着を持って呼んできた。
それは自分も認めるところ。でもだからといって幸せであるとは限らない。
やはり怖いのだ、死ぬことに対して。
健康に問題がないだけに、段階的に死への心構えができない男の苦悩は、第二次世界大戦のオキナワ戦で見せた少女の微笑みの逸話によって、救われる。万物には終わりがあり、いずれは無に帰す。身も蓋もないそんな事実の前に、人はどうしたら良いのか。
「微笑むのさ」
ラッキーの悟りである。
たまにその俳優が出ているだけで、良作になる映画がある。この映画はその好例であり、また主演のハリー・ディーン・スタントンも映画に雰囲気を与えられる名優だ。メキシコに近いのだろうアメリカの田舎町。サボテンが生える荒地に近い土地で、タバコを燻らせながら歩いているだけでサマになっているこの映画。でも単なる雰囲気だけの映画ではなかったです。
