フランスと戦争中の英国アン王女(オリヴィア・コールマン)は病に苦しみ、側近のサラ(レイチェル・ワイズ)を頼っていたが、没落貴族出のアビゲイル(エマ・ストーン)はアンとサラの性的関係を知り、それも含めてサラの立場を奪い、最後にはサラに毒を持って追放する。しかし、サラという相手を失ったアビゲイルは堕落し、アンは心身ともに衰え果てる。
いかにも批評家受けしそうな映画だが、自分としてはそこまでは楽しめなかった。
コメディというにはちょっと陰惨だし、歴史映画というには、描いている世界が狭すぎて奥行きがない。
ただ、当時の宮廷貴族たちの放漫ぶりと愚かさが存分に描かれているところは面白いし、地位と権力に憑りつかれ、私利私欲のために動くアンとアビゲイルの成れの果てが凄まじい。
特にオリヴィア・コールマンの演技というか変貌ぶりには圧倒させられる。ドラマ「ナイト・マネジャー」や「オリエント急行殺人事件」で最近見るようになったと思っていたら、あっという間にオスカーを受賞してしまった。
そして、登場人物の中では唯一「強い英国」のために身を捧げて来たサラが、最後には追放されてしまうという救いのない結末には、どの時代にもある理不尽さを見てしまった。