『女王の寵愛を奪い合うしたたかな攻防戦』
第91回アカデミー賞で最多9部門10ノミネートを獲得し、オリヴィア・コールマンが主演女優賞を受賞。
歴史物にしては人物像が掴みやすく、主要人物もまとまっていたので関係性が分かりやすかった。情緒不安定なアン女王の懐に偽りの優しさを持って入り込もうとするアビゲイルと正直すぎる振る舞いが仇となり立場が危うくなっていくサラ。地位による格差が激しい時代背景も相まって特にアビゲイルの野心と性悪さが際立つ。
女王が愛情を注ぐ対象としてウサギが描かれ、勝利を確信したアビゲイルがあからさまにうさぎへの態度を変えたことで、完全に目を覚まし、親友であり側近のサラを失った虚無感に襲われるラストーシーンの表現が印象的だった。