藍住

女王陛下のお気に入りの藍住のネタバレレビュー・内容・結末

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この監督とはとことん相性が悪くて、今作はどうなるかなー?なんて思っていたが、結構良かったかもしれない。
豪華な空間の中で繰り広げられる、アンを巡るアビゲイルとサラの静かな戦い。
お互いの足元を掬われないように睨み合い、繰り広げられる腹の探り合いと、所々に挟まれるシュールな笑い、そしてテンポの良い展開に飽きることなく観ることができた。
話が切り替わるたびに挿入されるあのフォントのサブタイトル、センスが良すぎて最高だった。

アビゲイルとサラはアンを巡って色々な攻防を繰り広げて、しかもそれを分かった上で二人からの寵愛を受けるアンという構図があったからこそ成り立っていたものがあって、ラストにその均衡が崩れたことによって本当に誰も幸せになれなかったんだな、と思った。
アンは自分を理解していたサラを失い、アビゲイルは一生好きでもなんでもないアンの面倒を見ることになり、サラは唯一の友人で愛していたアンと離れ離れになった。
絶妙なバランスで保たれていたものが崩れ去った時の喪失感と、そこから後戻りのできない迷路に迷い込んだ時の絶望感は、計り知れない。
あのラストシーンの呆然とした感じはここ最近の映画ではベストでした。

愛は、時に何にも変えることのできない強い力を分け与えてくれるけど、例えばひとつのボタンのかけ違うことで、たったそれだけで脆く崩れ去ってしまう、諸刃の剣なんだな。
藍住

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