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女王陛下のお気に入りのkoheiのネタバレレビュー・内容・結末

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

期せずして悲劇的な映画が続いておりますが、本作はコメディとしてもすごく楽しいドロドロの宮廷劇を描いた映画。噂どおり、超広角で宮廷内部を余すことなく写した映像が感動するくらい綺麗だし、エマ・ストーンは最高にイヤらしくて最低にキュート。レイチェル・ワイズの強さとオリヴィア・コールマンの醜さもたまらない。しかし一番惹きつけられてしまうのはあのラストカット、最近でいうと『ファントム・スレッド』に匹敵するくらいの衝撃的なエンディングだ。娼館に堕ちるくらいなら女王のアソコを舐めていた方がいい、四六時中愛を与えてくれないのなら嘘でもいいからそばにいてくれるアビゲイルを選ぶ。〇〇されるくらいなら、不満足でも△△を選ぶ、という諦め。その諦念が“利害関係の一致”として二人を重ねた時、彼女たちは17人の亡くなった子どもの代替物であるうさぎとも奇妙に重なっていってしまう。「誰かの代わりでしかない」という悲劇だけが、そこには存在している。『ファースト・マン』もそうだったけど、普遍的で小さな物語を大規模に撮られてしまうとまいっちゃう。
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