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女王陛下のお気に入りのmaiのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.4
最高に面白かった!
女優陣の怪演が素晴らしすぎる。

最初は宮廷内の事柄を場面転換早めで紹介していく感じなので、期待値より低め?と思ったけれど、いつのまにか画面の中の女性達に惹きこまれていました。
今の時代となっては奇妙すぎる遊びに服装…それが映画全体への不穏さに効いていました。そして、もうアナ・サラ・アビゲイルの3人の怪演とも言える素晴らしい演技力。あっぱれすぎるし、もう最後の最後までどう展開するのかわからない感じが最高にハラハラした。
女性同士、女王陛下の寂しさをどう埋めて手中に収めるかを、これでもか!と言うほどにドロドロに演じきってて恐ろしくも美しかった。そして、後半になるにつれてアナはどんどんと弱っていき、アビゲイルはどんどんと傲慢になっていき、サラはいつしか蚊帳の外に…最後に「イングランドはもううんざり。外に出ましょう」って言ったのは、彼女のせめてもの強がりで、本心からの諦めでもあり、強く印象に残りました。そして、映画のラストシーンの愛も何もないマッサージシーン。見返りを求めず、従順でいてくれるはずだったアビゲイルが、アナの大事にしていた子供の形見であるウサギをビールで潰して楽しんでいる姿が目に飛び込みます。そして、傲慢なアビゲイルを瞬時に自分に従わせます。
このシーンだけだと「アナ可哀想」なのですが、それまで散々なアナの姿を見ているせいか、それが巡り巡った結果の成れの果てな気がして滑稽でした。

あと!個人的にテイラー・スウィフトの彼氏ってイメージが強かったジョー・アルウィンがかっこよすぎてビックリしました。初めて出てきたシーンが木の陰からアビゲイルを覗く…というもので、その時はまだアビゲイルは無垢さがあったしで、生家没落の可哀想なアビゲイルに超絶美形の王子様が!!!とドキドキしました(次、2人で森に行く時はアビゲイルに完全にやられ返される情けないものでしたが笑)。
あんなにカッコいいのに、アビゲイルにいいように扱われる情けない男性役なんですよね…、贅沢な使い方です。
そして!ライ麦畑の反逆者で影のある主演を務めたニコラス・ホルトまで…。めちゃくちゃにカッコよかったし演技うまかったから、また別の作品でお目にかかりたいな〜とか思ってたら、最後のクレジット見てビックリしました。終始顔を白く塗りたくっていたので気付きませんでしたが…彼も最高にいい役どころを務めていました。アビゲイルの脅し(結局やられ返されるわけですが)もなかなかに迫力ありました。サラとアビゲイルの前では蚊帳の外ではありますが、強く印象に残る演技でした。

映画はいくつかに場面分けされて、その場面ごとにキーポイントとなる言葉が先に提示される形なのですが、どういうこと?と気になりつつ映画を見ると、それが本当に場面に一番効果を与えてる言葉で、この場面でそれいうの?!っていう更なる衝撃を与えてくれました。
出てくる衣装もセットも綺麗なのに、口先はあまりにも汚いし、やり方も汚い。そんな上品さと下品さが入り混じっていて、すごく奇妙な気分になります。
また、演出では所々に魚眼レンズ?が使われていて、それが絶妙に生々しくリアルで良かったです。

取り敢えず、サラとアビゲイルを演じたレイチェル・ワイズとエマ・ストーンが印象的すぎて。サラは男性にも物怖じせずに飄々と手に入れていく姿がカッコいいし、アビゲイルは性別をうまく使いこなしてズル賢く手に入れていく姿が小賢しすぎて最高でした。
エマ・ストーンって、わたし的にはLALALANDやスパイダーマンのような、優等生…とまではいかないけれど、人当たりのいい役柄のイメージがあったので、今回はあまりにも違う役柄でしかもそれがハマり役になってるのも意外でした。これからが楽しみです!
オリヴィアコールマンは貫禄ありました!2人がドロドロの対決をしてる側で、自分を取り合ってるのっていい気分と無邪気なんですよね…。無邪気というか精神が幼いというか。なのに、ふとしたときに威厳を感じさせる。完全なる女王陛下でした!
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