足拭き猫

女王陛下のお気に入りの足拭き猫のレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
お気に入りはエマ・ストーンのことなのかなぁと思ってたらレイチェル・ワイズとどっちが気に入られるかのえげつない競争をする話。
オリビア・コールマン演じる女王は一見弱々しくてエマやレイチェルに頼っているだけのようだが、実は自分を巡って争う女性二人を見て自尊心を満たし楽しんでいる一番腹黒い奴。でも足も心もとっても痛そうだったし、口元が徐々にゆがみ、左目も開かなくなっていく顔がなんとも迫力だった。

それにしても男性がどいつもだらしないというか情けないというか、3人の添え物のように描かれていたのだが、議会では表向き実権を握っているのは男性なのだなぁ。

過剰な装飾の室内、暗闇の廊下、外のシーンでは鳥が打ち落とされてるか人工的な庭園を歩いてるか、馬に乗っている場面でさえ直接的に前方に向かって動いているだけ。広角レンズ多用なのに全く広がりは感じられず、返って宮廷の世界の狭さが際立って息苦しかった。

モノクロで統一された衣装、スカートは広がっているのに可愛さはまったく感じられず作品の世界観にぴったり。

まとわりつくように後味悪い作品だなぁとしばらく悶々としていたのだが「聖なる鹿殺し」と同じ監督だった。宮廷に限らず現代でも神経戦は繰り広げられていて現実でもこんなこともあるのだろうから、異様さからいったらあちらの方が際立っているけど、観終わってしばらくしてもイヤ~な気分になったのは同じで、恐るべしヨルゴス・ランティモスの視点。