キャッチ30

女王陛下のお気に入りのキャッチ30のレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.3
18世紀初頭のイングランド。スペイン継承戦争により、英国民は疲弊していた。アン女王はグレートブリテン王国最初の君主であるが、政策決定は側近のレディ・サラに任せっきりだった。そこへ、サラの従姉妹であるアビゲイルが訪ねて来る…。

物語の骨組みは三人の女の愛憎渦巻く三角関係である。アンは肥満体で怠惰な生活を送っているが、背景には十七人の子の死が関わっている。その孤独を埋め合わせるように兎を可愛がる。サラはサディストで、女王の側近という立場と性的な関係を利用してアンを支配しようとする。アビゲイルは観察眼が鋭く、利用できるなら女王も男も利用するという狡猾さを備えている。

監督のヨルゴス・ランティモスは女の権力と寵愛を巡るパワーゲームを冷徹に描写する。黒と白に統一された衣裳はチェスを想起させるし、魚眼レンズの使用は英国王室の歪みを見せられてるようだ。また、弦楽器の音は不気味さを醸し出すのに役立っていた。