このレビューはネタバレを含みます
18世記のイギリス王室を舞台に、女王と侍女二人が繰り広げる宮廷愛憎劇。
一見普通のドロドロした宮廷ドラマと思いきや、女王・サラ・アビゲイルの心情を丁寧に描いており、濃密な作品でした。
国家元首でありながら、繊細で不安定な女王の信頼を勝ち取り、巧みに国政を操る狡猾なサラ。
一見、忠実で、大人しい印象ながら、父親のせいで没落し、必死に転がり落ちてしまった道を駆けあがろうと、女王の寵愛を取り付け、巧みに女王の旧友であるサラを蹴落とすアビゲイル。したたかに登りつめるまではよかったのものの、その後、いつか自分がまた誰かに貶められてしまうのではないかと不安になる様がまたリアルでした。
見た目と第一印象を裏切り、したたかに登りつめていくアビゲイルの姿も圧巻ながら、終盤の国家元首として君臨する女王アンの立ち振る舞いは見事。解雇宣告をなんとか翻そうと最後のあがきで、女王の懐に訴えかけようとするサラを退け、またサラなき後の宮廷を我がもの顔で歩くアビゲイルにも、誰が元首であるかを思い知らせる姿は、最後の最後で国家元首としての威信というか威厳というかを見せられた模様。誰がトップであるのかをわきまえなさいと暗に知らしめているというのか。
ラストのアビゲイルと女王、ウサギが交錯するシーンは何を暗示していたのかしら?
あまりにドロドロしてて、個人的には後味が悪いのと若干怖すぎたものの、
飽きることなくグイグイと物語に引き込まれる2時間でした。