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ザ・スクエア 思いやりの聖域のsumiccoのレビュー・感想・評価

3.2
人が言うには
変わり者のイケメンという噂で
実際に会ってみたら
ものすごくオシャレな人で
会話の中身もすごく知的。

なのに
一緒にいる空間がすごく不安。
貴重な体験だとわかるのに
ずっと "家に帰りたい" と思っているデート、

みたいな気持ちでした。
この作品を観ている間(笑)


北欧の国々の中で
スウェーデンというのは
意外と微妙な立ち位置だと聞きます。

学年ではかなり優秀なはずなのに
北欧という特進クラスにいるがゆえに
自己肯定感を高く持てない国、という
例え話があるぐらい。

何故かそれを思い出す映画でしたねえ…

今作の主人公のクリスチャンも
スペックは決して悪くないのに
魅力よりも
その魅力を損なわせる点のほうが
先に目についてしまう残念感。

そのうえで
現代アートを基礎に
「…え?」なカットがたくさん挿入されるので
結局この映画はなんなのか?と尋ねられたら
皮肉は満載だけど意味は不明、と
答えてしまいたくなります。


ただ
創られたときの狙いは全然違うのに
売り出す手法を間違えて
それがひとたび炎上すると
世間の大半に
もう2度と理解してもらえなくなるとか。

これは芸術です、と先に聞かされていると
たとえそこで暴力的な行為が行われても
一番最初にぶち壊す人になれなくて
その後ろめたさから
一番最初の人が現れた瞬間に
追随する正義が行きすぎるとか。

異なる世界を描いているのではなく
この不安な空気を醸す世界は
間違いなくあたしが今住む世界だ、と
痛感させられる作品ではありました。
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