れい

ザ・スクエア 思いやりの聖域のれいのレビュー・感想・評価

3.8
福祉国家といえば真っ先に名前が挙がるスウェーデンでも富める者と貧しい者とは住む世界が違うだけではなく見えない境界があり、区別されていたことに衝撃を受けた。
 
料理人の話を聞かず我先へと食事に群がる人たち、閲覧数を増やすために人の不幸を利用する炎上商法、暴力行為を目の前にしても嵐が過ぎるのをじっと待つ沈黙からの集団が1人の抵抗をきっかけいにリンチが起こる。
 
これらは実際に日本で起きていることもあれば、いつ自分が当事者になるかもしれないということもあり怖さを感じた。
主人公は女性を助けたことをきっかけに自分が抱える矛盾に気が付き人生が変わっていく。
 
「信頼と思いやりの聖域」とは、そこに入る人は誰でも平等に権利と義務を持ち、そこにいる人が助けを求めたら助けないといけない、もの。とされている。

善悪の判断基準や、観客を試されているような心理実験をされているような、居心地の悪さをずっと感じたのは私たちも映画の中に出てくる傍観者と立場的には変わらず安全な内側で正義を振りかざす存在と同じだから。
その自己矛盾が暴かれることは理想的ないい人の仮面が厚ければ厚いほど強烈な一撃をくらった感覚になるのも当然かもしれない。
れい

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