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ザ・スクエア 思いやりの聖域のnaoのレビュー・感想・評価

3.8

「本音と建前」

主人公に降りかかる些細な事柄から起こる物語を冷笑と人間の滑稽さを交えながら映し出す作品です。

この映画で描かれる場面が自分もそういう経験あるなぁと思ったりして、最初はクスッと笑える感じだったのですが
物語の中盤に、あるパフォーマーが猿のようなパフォーマンスをしてその場を凍りつかせてしまう場面。観客の1人が殴り始めたらだんだんと皆が殴り始めます。
そんな人々が無関心であるがために引き起こされる不寛容さと集団心理を上手く描くシーンがあり、ここに居心地の悪いなにかを感じ、そこから少しずつ笑えなくなっていきました。(このシーンは、まさにこの映画を象徴しているシーンだと思います😅)


そして、この映画を見終わって
人が深層に持つ偏見や不寛容さは悪いものだと否定したところで、それがもし、その状況に自分がいたらどうすると考えたら、もう何も笑えなくなり背筋に冷たいものが走りました

自分のことを普段、偏見や不寛容はいけないことだと拒否感を示す良い人間だと思っていたとしても、強い恐怖を感じる状況に陥ると、それににそぐわない行動をとってしまう

そこが人間の本質的な弱さの一つなのかもしれません🤔

そして、そういったことを映画を通して考えさせてくれただけでも、見てよかったなと思う作品です。
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